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 バッセン断層の戦い(The Battle in the Bassen Rift)とは、2379年に発生したロミュラン帝国におけるシンゾンの政変と呼ばれる一連のロミュランの奴隷階級であったレムス人らによる反乱に伴って発生した惑星連邦レムス間の戦闘である。レムスの指導者であるシンゾンは極秘裏にロミュラン軍部と結託し、ロミュラン上院議会上院議員たちを暗殺してロミュラン帝国に対してクーデターを行った。シンゾンは自らがロミュラン帝国の新しい政務長官(プラエトル)に就任し、地球及び惑星連邦征服を画策していた。そのシンゾン自身は、以前にロミュラン軍によって生成された宇宙艦隊ジャン=リュック・ピカード大佐のクローンであり、シンゾンは自らの鏡であるピカードをロミュラン帝国と惑星連邦の和平外交会談の名目で呼び寄せ、バッセン断層において自らが指揮するレムスの新型ウォーバード「シミター」を率いてピカードに戦いを挑んだ。

 2379年のこの戦いは、重武装の戦艦シミターとソヴェリン級USSエンタープライズEによる激しい闘いであった。この戦いにロミュラン軍ドナトラ司令官に率いられたヴァルドア型ウォーバード2隻がエンタープライズ支援のために参加した。しかし、戦力差は圧倒的でエンタープライズは満身創痍となり、ロミュラン側のウォーバードも無力化された。しかし、シミター内部での破壊工作によって辛くもエンタープライズ側は勝利を収めることに成功した。(スタートレック:ネメシス

前兆[]

Scimitar

エンタープライズに砲撃を加えるシミター

 シンゾンロミュラン上院議会の主要な議員らの暗殺を完了し、自らが新たなロミュランの指導者である政務長官に就任した。そしてシンゾンは直ちに惑星連邦に対して和平会談のための使節をロミュラスに派遣するよう要請した。その時最もロミュラスに近い位置にいる艦がエンタープライズであった。しかし、これはシンゾンによって巧妙に仕組まれた罠であり、ロミュラン中立地帯に近いコラルス3号星にエンタープライズのクルーであるデータと同じスン型アンドロイドB-4を置くことで、エンタープライズをその宙域へとおびき寄せていた。

 シンゾンは明らかにピカードをロミュラスへとおびき寄せるつもりでいた。シンゾンには大きな欠陥があった。彼はロミュランによってすぐに大人になるように可変リボ核酸を用いて作られたが、それが正常に機能していないため、唯一の完全なドナーとなるピカードの血液を必要としていた。また、ピカードから得られる自らの共有されたアイデンティティをも求めていた。

 ロミュラスでの和平会談に呼ばれたエンタープライズは平和会談という名目の裏にあるシンゾンの陰謀にいち早く気づくことができた。それは、シミターがセラロン放射と呼ばれる極めて危険な生物兵器を搭載していることが判明したためであった。シンゾンはエンタープライズからピカードを拉致することに成功したが、B-4に変装したデータの支援によってシミターを脱出することに成功した。そして直ちにエンタープライズは最大ワープでロミュラスを脱出した。

戦闘[]

USS Enterprise-E fires full phaser spread

遮蔽したシミターを探すため全方位フェイザー照射攻撃を行うエンタープライズ

 ロミュラスを脱出したエンタープライズをシンゾンは遮蔽したシミターで追跡していた。ピカードはシンゾンの目的はセラロン兵器を用いて地球を壊滅させることが分かっていたが、シンゾン自身がピカードの血液を必要としているというネックがあるため、地球攻撃の前に必ずエンタープライズに対して決戦を挑んでくることが予想された。そのため、エンタープライズを支援するために宇宙艦隊セクター1045宇宙艦隊戦闘グループ・オメガを待機させており、艦隊と合流後シミターを破壊することを計画した。

 しかし、シンゾンはバッセン断層と呼ばれる空間の歪を作り出す空域にエンタープライズを誘い出すための巧妙な罠を仕掛けていた。バッセン断層ではあらゆる通信が妨害されるためエンタープライズは支援を求めることが不可能となるためである。シンゾンはエンタープライズがバッセン断層へ入った後に直ちに攻撃を加え、エンタープライズのワープ・ドライブに損傷を与えた。ワープ航行が不能になったエンタープライズに対してシミターは攻撃を行った。エンタープライズは遮蔽したまま攻撃を加えてくるシミターをロックすることができないため、ピカードは360度全方位仰角0のフェイザー照射を命じた。エンタープライズの艦尾側でフェイザー照射によるシールドの揺らぎを検知した後に直ちに光子魚雷を撃ち込んだが全弾外されてしまった。

 シンゾンは攻撃パターン「シンゾン・シータ」を命じてエンタープライズの上部シールドに攻撃を加えた。上部シールドが消失しかけたエンタープライズは、直ちに左舷へ全軸回転を行い腹部フェイザーで反撃を行ったが、シミターへのダメージは僅かであった。ライカーは防御パターン「カーク・イプシロン」を指示し回避行動に入らせた。

 その時、エンタープライズにシンゾンから通信が入り、ピカードとシンゾンが会談を行うため一時的に休戦が行われた。しかし、その休戦の最中突如エンタープライズの前に二隻の新たなウォーバードが現れた。絶体絶命の危機と感じたエンタープライズクルー一同であったが、新たに現れたウォーバードIRWヴァルドアドナトラ司令官からピカードに対して支援の申し出があった。ドナトラはこれがロミュラン帝国の国内問題であると考えていた。ピカードはドナトラの申し出を快諾し、二隻のヴァルドア型と共同戦線を張った。

 三隻の攻撃に対しても圧倒的な戦力で応戦するシミターは、ウォーバード一隻の翼に攻撃を加えた。攻撃によって翼が吹き飛ばされたウォーバードは無力化され、吹き飛ばされた翼がエンタープライズに衝突しエンタープライズ前部シールドに大ダメージを負ってしまう。後退したエンタープライズに代わりヴァルドアがシミターに総攻撃を加えるが、シンゾンはシミターの遮蔽を部分的に解除しヴァルドアをおびき寄せた。ヴァルドアは攻撃を加えながら追跡するが、シミターは急減速しそれを追い抜いたヴァルドアの船体底部へ向けてディスラプターの集中砲火を浴びせた。ヴァルドアはこの攻撃で行動不能となってしまい、シミターは再びエンタープライズへの攻撃を再開した。

 遮蔽したシミターに対して有効な攻撃が行えないエンタープライズでは、ディアナ・トロイテレパシーを用いてレムスの副長官の位置を探った。シミターの位置を特定したエンタープライズは量子魚雷を発射しシミターにダメージを与えた。間髪入れずに直ちにエンタープライズはフェイザーと光子魚雷で集中砲火を浴びせた。しかし、シミターは体制を立て直しエンタープライズへ反撃を行い、エンタープライズのシールドが消失してしまった。その隙をついてシンゾンはただちに副長官に上陸班を率いてピカードを拉致するよう命じた。レムスの上陸班はデッキ29へ侵入し、エンタープライズの保安部員達と激しい銃撃戦を行ったが、撃退された。この戦いの最中もエンタープライズはシミターと戦闘を続けていたが、シミターの集中砲火がエンタープライズのブリッジへ直撃し、操舵士官ブランソン大尉が爆発によってブリッジの隔壁に空いた穴から宇宙空間へと吸い出されてしまった。

USS Enterprise-E and Scimitar following collision extraction

シミターに体当たりするエンタープライズ

 激しい戦闘が続いたが、シミターの圧倒的な火力の前にエンタープライズも満身創痍となった。エンタープライズは光子魚雷を撃ち尽くしており、フェイザー・バンクのパワーも4%まで低下してしまった。しかし、ここでピカードは自らが艦隊アカデミー時代に最初に評された評価「極端に…自信過剰」ということを思い出し、シンゾンがまさにその状況にあることを悟った。そこでピカードは慢心しているシンゾンの隙を突いてエンタープライズをシミターへ激突させるよう命令し、エンタープライズはシミターへ激突した。

 この激突によってエンタープライズは甚大な被害を被ったが、同時にシミターもディスラプターを無力化された。しかし、依然としてシミターは健在であり、ピカードは最後の手段としてエンタープライズを自爆させようとするが、自爆システムが破壊されており実行不可能であった。シンゾンは直ちにエンタープライズを引き離し、セラロン発生装置を起動してエンタープライズを攻撃するように命令した。

 ピカードはセラロン発射を食い止めるため、自らがシミターに乗りこむ決断を下した。ピカードをシミターに転送した直後に転送装置は故障しピカードを連れ戻すことができなくなってしまった。そこでデータ少佐はエンタープライズの船体損傷部から直接宇宙空間を飛び、シミターに乗り込んだ。

Scimitar explodes

破壊されるシミター

 シミターに侵入したピカードは、ブリッジを通ってセラロン・ジェネレーターを破壊しようとしたが、シンゾンに阻まれ二人は戦いを繰り広げた。しかし、最終的にシンゾンはピカードに敗れ息絶えた。しかし、その時セラロン発射まで30秒という状況であった。その時データが現れ、ピカードに緊急転送ユニットを着けピカードをエンタープライズへ転送した。

 そして、データはフェイザーでセラロン・ジェネレーターを破壊し、シミターは破壊された。

その後[]

USS Enterprise-E in drydock 2

戦闘の傷を修復するエンタープライズ

 この戦いで連邦とロミュラン帝国は急速に友好を深める結果となった。エンタープライズとロミュラン軍が共同で戦ったことはロミュラン軍に感銘を与え、また、孤立無援のエンタープライズを支援したロミュラン艦隊に対して宇宙艦隊も感銘を受けた。また、ロミュランに長年憎しみを抱いていたウォーフでさえ、「ロミュランは名誉ある戦いをした」と評価している。

 この戦いの後、新たにUSSタイタン艦長へと就任したウィリアム・T・ライカー大佐はロミュラン中立地帯へ平和のための会議のために任務部隊を率いて派遣されることとなった。

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